こんにちは
院長の櫻井です
今日は少し珍しい症例のお話
79歳の男性で、毎年秋になると顔・うでの痒みが出現するとのことで受診されました
顔にびまん性の浮腫性紅斑、両手背から前腕にかけて、びまん性に漿液性丘疹を伴う浸潤性紅斑がみられ
ました。(すみません、写真はありません)接触皮膚炎ないしは光線過敏症を考え、問診を詳しく行った
ところ、趣味でキクの栽培をしているということでした。
そこでキク皮膚炎の可能性を考え、キクの花と葉でパッチテストを実施し、72時間後の写真です↓
しっかり陽性でした。
治療はキクとの接触を避け、ステロイド外用および抗ヒスタミン剤内服で1週間で軽快しました。
キク皮膚炎は一見すると光線過敏症にも似た臨床症状をとることが多く、また実際に光線過敏症との関連性
についても示唆する論文もありますが、基本的にはキク抗原に対する接触皮膚炎です。
治療もキクを避けて対症療法をするだけで簡単に治ります。
キク皮膚炎で一番難しいのはやはり診断ではないでしょうか。
まず本症を疑ってキクの栽培について問診しなければ原因不明の接触皮膚炎や光線過敏症と片付けられて
しまいかねません。その結果、いつまでたっても治らずに慢性化する可能性があります。
今回は問診の大切さをあらためて実感しました。