こんにちは
院長の櫻井です
今日は、手術1件の他に、まさに皮膚科学の教科書的な症例の生検(組織検査)がありました。
症例は77歳の女性で、RAに対して、PSL8mg+MTXにて加療中。
2ケ月前から、顔面および頸部に、自覚症状を伴わない、小指頭大から鶏卵大までの浮腫性環状紅斑が
多発してきたため10日前に当院を初診。
念のための真菌顕微鏡検査は陰性。
RAもあることから、膠原病(特に、SCLEやSjogren)を第一に鑑別に挙げ、他にも、環状肉芽腫、
サルコイドーシス、Darier遠心性環状紅斑、悪性リンパ腫、類天疱瘡なども鑑別に上がるため、
まずは顔面にはstrong class、頸部にはstrongest classのステロイド外用を開始しつつ、血液検査を実施。
ANA X320、抗SS-A抗体 240IUと強陽性、HbA1c・ACE・sIL2R・抗BP180抗体・STS・TPHAは全て正常範
囲内であり、1週間後の再診時、顔面の皮疹は改善傾向であるが、頸部は不変。
抗核抗体・抗SS-A抗体陽性より、やはりSjogrenやSCLEを第一に考え、各種核抗体検査を実施したところ、
抗SS-B抗体のみ強陽性で、他は抗ds-DNA抗体も含め全て陰性。
そして本日組織検査を実施しました。
Sjogrenであればステロイド・タクロリムス外用で経過観察、SCLEであればDDS投与を計画しています。
東大病院時代はこのような症例はまれではなかったですが、このような症例をしっかりサルベージできること
は、自分の皮膚科医としての力量を証明してくれているようで、うれしいですね