こんにちは
院長の櫻井です
今日は、一般にはあまりなじみのない「内因性アトピー性皮膚炎」という概念についての
お話
アトピー性皮膚炎の80%は「外因性アトピー性皮膚炎」といい、フィラグリン遺伝子異常などを
ベースとして、IgE・各種RAST・TARC高値などの検査所見を示しやすいもので、残り20%は
比較的症状は軽度で、検査所見も全く正常となる傾向があり、これを「内因性アトピー性皮膚炎」
といいます。内因性アトピー性皮膚炎には金属アレルギーが合併しやすいことが知られており、
実は、経口的に摂取された金属(例:コーヒーや豆類にはニッケルが多く含まれている)による
接触皮膚炎症候群が、その本態なのではないか、という仮説が提唱されています。皮膚科専門医
には常識となっている、金属によるpseudo-atopic dermatitisはこれに該当するのでしょう。
さて、大切なのは、この「内因性アトピー性皮膚炎」の概念を知らない+アトピー性皮膚炎の
定義をしっかり理解していないと、アトピー性皮膚炎を正しく診断できない、ということが起こり得る
からです。
すなわち、アトピー性皮膚炎は、日本皮膚科学会のガイドライン上は、「乳児では2ヶ月以上、
それ以外では6ヶ月以上、典型的な部位に湿疹を繰り返すこと」を以ってアトピー性皮膚炎の
診断を下すわけであり、血液検査所見はあくまで参考所見となっています。
ところが、時々、シャルムクリニックに受診される方で、どう見てもアトピーなのに、「血液検査で
アレルギーがなかったからアトピーではないと言われた」と言う方がいらっしゃいます。すなわち、
内因性アトピー性皮膚炎が正しく診断されていない。
アトピー性皮膚炎は、病歴と臨床像のみで診断できる疾患ですし、診断すべき疾患です。
(厳密には、悪性リンパ腫と鑑別が難しい症例もまれにあるので、組織検査を必要とする場合も
ありますが・・・)
なかなか湿疹が治りづらい、という方は、シャルムクリニックまでご相談くださいね