こんにちは晴れ

院長の櫻井ですニコニコ

夏になると増える皮膚の病気の代表格に、水虫(足白癬)があります。

それでは水虫の診断はどのように行うのでしょうか?

診断方法は、顕微鏡検査、これにつきます。

つまり、水疱・皮むけの部分の皮膚を採取して顕微鏡でみて、白癬菌が見つかれば、

水虫、との確定診断にいたります。逆に言えば、白癬菌が見つからない限りは、水虫の

診断はくだせません。

なぜでしょうか?

実は、足の水疱・皮むけを呈する他の疾患があるからです。すなわち、

・汗疱(足の湿疹の一種)

・掌蹠膿疱症

・紅色陰癬(※水疱形成はしません)

を鑑別する必要があるわけです。(自称「水虫」で皮膚科を受診した方のうち、実際に水虫であった

のは3割だけだった、という統計もあります。)

この3疾患と水虫は、臨床的に見分けがつきにくいことが多く(特に汗疱と)、また、合併することも

しばしばあり、そのため、適切な検査によって、診断をつける必要があるわけです。

ここで、少なくとも、水虫と紅色陰癬に関しては、それぞれ、顕微鏡検査とWood灯検査という、

絶対的な検査があるわけですから、診断確定にはルーチンで行わなくてはなりません。

しかし、ここで、市販の水虫薬を塗ってしまっていた場合、どうなるでしょうか?

現在、市販の水虫薬は、医療用の優れた抗真菌薬成分を含むものも多くあり、たしかに

効きます。問題は、市販薬を塗っていたがよくならないので病院を受診した、という場合です。

この場合、3つの可能性が考えられます。

・実際に水虫だが、市販薬でおさえきれてない可能性

・実際には水虫ではない可能性

・実際に水虫であろうとなかろうと、市販薬でかぶれている接触皮膚炎の可能性

3番目の接触皮膚炎の診断は容易です。しかし、それも含めて、ベースにあるのが、水虫なのか、

そうではないのかを鑑別するには、顕微鏡検査が必須です。

ここで、水虫に市販薬を塗ってしまっていた場合、白癬菌は大幅に減ってしまっており、顕微鏡検査

にて検出できないことが多々あります。

結果、

顕微鏡検査で白癬菌が検出できなかった

→汗疱としてステロイド外用を2,3週間程度実施

→もう一度顕微鏡検査を実施して白癬菌がやっと見つかる

→市販薬の成分とは別系統の抗真菌薬を開始

と、二度手間を踏むこととなります。

たかが水虫ですが、感染症です。感染症の基本的な治療戦略は、ターゲットに対応した薬を使うこと

であり、それ以前の大前提として、感染症であることを診断しておく必要があります。

また、市販の水虫薬は、病院から処方箋で出す薬と異なり、局所麻酔外用薬や止痒剤などが

配合されており、結果、これがかぶれの原因となっていることも多く経験します。

そのため、水虫か、と思ったら、皮膚科専門医を受診して、顕微鏡検査を受け、診断を確定するのが、

最終的には近道、ということになります。