こんにちは
院長の櫻井です
今日は、「見学の意義」についてのお話。
私は、自身の休診日の水曜日に、東京大学医学部附属病院皮膚科の佐藤教授による教授回診
および、東京逓信病院の江藤部長の外来診察の見学をさせていただいております(昨日も
教授回診に参加させていただきました。)
そう言うと、よく、「休みがなくなってきつくないの?」と聞かれることもあります。
ぶっちゃけますと、え~・・・、体力的には若干きつくなります。
が、見学をしなかった場合に予想される自身の臨床診断能力の低下の方が、私には
圧倒的にきつく、耐えられませんので、むしろ水曜日の見学を心待ちにしている状態です。
東大病院皮膚科や東京逓信病院のような超一流病院でみる症例は、やはり、稀少疾患や、
難治性疾患が多くを占めます。あるいは、common disease(よくある疾患)であっても、数々の治療に
抵抗する難治例も珍しくありません。私も勤務医時代は東大病院やその関連病院に在籍して
おりましたが、その時には、そのような症例をみることが当然でしたし、若い時分は、愚かにも、
「大学だからこういう症例が来るけど、普通は一生みないよ、こんなの。」などと愚痴ることも
よくありました(今の自分が、そんなこと言ってる当時の自分を目の前にしたら、蹴りは確実に
入れます)
しかしですよ、そういう珍しい症例の患者さんが、最初から大病院を受診しているかというと、
多くのケースは、最初は開業医を受診しているんです。そこでよくならなくて転々と病院を変えて
最終的に大病院に受診するというケースが半分以上を占めるのではないでしょうか。
ですから、そのような症例を開業医が「一生みない」などということはなく、そのため、開業医こそが
見落とさないように心がけ、診断した際には然るべき施設を紹介する、あるいは、然るべき治療を
行う、という必要があるのだと思います。
ところが、開業してしまうと、そのような症例の絶対数は明らかに激減しますので、臨床のカンが
鈍ってしまい、いざそのような症例が目の前に来ても、診断できなくなる可能性が高くなり得る
んですね。(勤務医時代は、なんで前医ではこんな典型例が見落とされていたんだろう、と疑問に
思うことが多々ありましたが、逆に前医となり得る立場になってみて納得できました。)
したがって、正しい診断を下すには臨床のカンを養っておく必要があり、それには、そういった症例を
常日頃から経験しておかなければなりません。そのためには、見学は最も効果が高い方法なんです。
また、自分以外の医師の診療を見学することそれ自体も非常に得るものが大きいです。開業医になる
と、フィードバックがかかりませんからね・・・
と色々と書いてきましたが、開業医だろうが勤務医だろうが、医師たるもの、常に勉強して向上し続け
なければならない、との思い、その一点のみから、行動しております。
そのためなかなか趣味に割く時間がなくなってしまうのが玉にキズなんですけどね・・・