こんにちは
院長の櫻井です
夏は水虫で皮膚科を受診する方が増えます。
そのとき、市販薬を塗っているうちに、かぶれてひどくなってきたため受診する方も多いです。
その場合、皮膚科専門医はどうするか?
まずは、そもそも水虫の診断が正しいのかどうかを考えます。
というのも、自称水虫で受診される方のうち、実際には水虫でないことも多いんですね。(汗疱、
掌蹠膿疱症、健康サンダル角化症などなどの別の病気。)
そのため水虫であるかどうかは必ず顕微鏡検査を行います。(これを行わないで水虫と診断する
医者は、もぐりの皮膚科医の可能性が高いですのでご注意を。)
が、今回の水虫の市販薬でかぶれているケースに関しては、初診時に水虫の診断は困難である
場合も多いんです。というのも、現在、市販の水虫薬はかなり優秀で、病院で出されるのと同じ成分
を含んでいる薬が多いんです。(しかし、他にも局所麻酔薬や鎮痒剤など余計な成分も含んでいる
ため、病院で出される薬よりもかぶれやすい。)そのため、顕微鏡検査では発見できないくらいに
菌量が減少している+かぶれにより水虫菌(皮膚糸状菌)が住んでいる角層が破壊・脱落して
しまって菌が消失している、という可能性が高いんですね。
そのため、初診時にはかぶれの治療を行い、かぶれが改善した時点で水虫の検査をする、
ということも多いです。
その際に重要なことは何でしょうか?
それは、かぶれの原因であった市販薬が何であるか、です。実は水虫の外用薬には、
モルホリン系・アリルアミン系・ベンジルアミン系・チオカルバミン酸系・イミダゾール系、と、
5種類の系統があります。つまり、病院で出すのと同じ成分・同じ系統の成分を含んでいる
市販薬でかぶれた場合、それとは別系統の薬を処方する方が安全ということになります。
しかし困ったことに、その市販薬を捨ててしまったため何であったかわからない、という場合が
あります。
その時は、仕方がないので、系統はかぶる可能性があるけれども市販薬には含まれていない
成分が主薬の外用抗真菌薬を処方します。(運悪く同じ系統だった場合は、もちろんかぶれる
リスクはあり。)
そのため、市販の水虫薬でかぶれた、という方は、病院に受診する際に、その薬を持参して
いただくと、お互い助かる、ということになります。
蛇足ですが・・・
市販薬には含まれていない成分が主薬の、病院で処方する外用抗真菌薬
は2つだけありますが、何でしょうか?(答えは省略)
なお、私は、初診で水虫の診断をした場合は、原則としてこの2種類の薬からしか処方しません。
(かぶれの既往がある場合や他の薬を希望の場合は除く。)