先日の症例より。

症例:30代、女性

現病歴:数ヶ月前より頭部に脱毛斑が出現し、他院にて円形脱毛症と言われ外用薬を処方されるも

改善なく当院初診。

既往歴:抗核抗体160倍のため膠原病内科にて定期的に経過観察されている。

現症:写真に示すように、頭頂部に橙色の大きな瘢痕状の脱毛局面が存在する。

さて診断は?

A.エリテマトーデス

いわゆる瘢痕性脱毛であり、folliculitis decalvans,DLE,Lichen plano-pilarisなどを鑑別に

皮膚生検を実施しました。(この際、病変の、正常との境界部から検査をするのが重要です。)

結果、基底層に液状変性なく、毛包周囲にリンパ球・形質細胞・組織球などの炎症細胞浸潤が

あり、真皮網状層にムチン沈着を認め、エリテマトーデスの中では比較的珍しい、

lupus erythematosus tumidus

と病理組織学的に診断できました。

瘢痕性脱毛は視診での鑑別診断はやはり難しく、正しい部位での病理組織学的検査が

非常に大切です。