今日は教科書的典型例から。

症例:60代、女性

現病歴:数ヶ月来の口腔内の疼痛を主訴に当院初診。

既往歴:特記すべきことなし

現症:写真に示すように、両頬粘膜に網目状で軽度隆起した白苔が存在する。(詳しく記載すると

それだけで病名がわかってしまいますので、あとは写真で考えてください。)他部位に皮疹なし。

さて、生検・真菌顕微鏡検査以外で次にすべき検査は?

A.金属パッチテスト

典型的な口腔内扁平苔癬です。写真に示すように歯科金属も多数入っています。

実はこの患者さんは、歯科を受診してから皮膚科でパッチテストをしてもらうようにいわれて

受診した経緯があります。しかし皮膚科専門医であれば、その情報がなくても、非常に特徴的

な臨床像から扁平苔癬の診断は即座にくださなければなりませんし、口腔内のみに皮疹が

とどまることから、まずは金属パッチテストをしなければなりません。

実際金属パッチテストをしてみると・・・

1週間目の判定の写真ですが、Co・Pd・Niに陽性でした。(ちなみに当院の金属パッチテストでは、

チタン、ジルコニウム、モリブデン、バナジウムなどの、他院では通常お目にかかれない金属

アレルゲンも検査できます。)

なお、金属パッチテストは1週間目の判定も重要です。本症例においても、Co,Niは48時間目および

72時間目においても陽性でしたが、Pdは1週間目において初めて陽性となりました。

今後は、Co・Ni・Pdを含む金属が口腔内にあれば除去する必要があります。