今日は番外編です。

症例:59歳、女性

既往歴:51歳 甲状腺機能低下症(チラーヂンSにてコントロール良好)、検診で高血圧

現症:1年前より頭部の特に分け目の脱毛が目立ち始めた。甲状腺でかかっている内科の採血では

特に問題なし。

さあ、これは同業の方ですとお分かりいただけると思いますが、困ったケースです。

何せ、女性の脱毛症は難しい。何が難しいかというと、スタンダードな治療が確立されていないんです。

エストラジオールやプロゲステロン、DHEA、テストステロンなどホルモン補充療法を行うことで、脱毛に

対する効果が期待できることもありますが、効果がなかなか上がらないことも経験します。

今日はさしあたって、他に脱毛の原因となる原疾患(膠原病、鉄欠乏、亜鉛欠乏など)がないかの

血液検査を実施し、メルスモン皮下注射を開始し、さらに漢方薬を投与することとしました。

問診上、

・ストレス時に頭痛・ホットフラッシュ・発汗あり

・時々手足がほてる

・肩こりが結構きつい

・消化器症状なし、二便正常

・冷え性、腰痛などなし

でした。

さて何を処方したでしょうか?

A.七物降下湯合六味丸合半夏白朮天麻湯

弁証としては、

肝欝血瘀、肝血虚→肝腎同源、肝腎陰虚→肝腎不交→陰虚火旺、肝陽上亢

甲状腺→痰濁内阻

と考え、上記処方としてみました。

しかしさしあたっての処方ですので、反応を見て、処方を変更していきます。