こんにちは
院長の櫻井です
夏場に激増し、冬場には減少しますがそれでもよく見かける、小児の皮膚疾患のとびひ。
どうもそのとびひが正しく診断されていないケースをよく見かけます。
そのほとんどが、湿疹がじくじくしているだけのものです。そういったものが誤診され、延々と
抗生物質の治療が行われているんですね。
湿疹は掻爬(ひっかくこと)に伴い生じるものですから、その掻爬が強ければ、じくじくするのは
当然なんです。つまり、湿疹を治す治療(ステロイド外用剤)をしなければじくじくが治るはずも
ないんですね。
さらに、湿疹がじくじくしているものと、とびひの最もわかりやすい差は何でしょう?
それは、とびひの発生機序を考えれば簡単です。
すなわち、とびひは、黄色ブドウ球菌のexfoliative toxinにより生じますが、この毒素はデスモグレイン1
をターゲットにしますから、落葉状天疱瘡と全く同様、顆粒層レベルでの極めて浅い剥脱病変となり
ます。一方、湿疹でじくじくするものはもっと深い。
つまり、病態生理を理解していれば、鑑別は極めて容易ということになります。