今日はひっかけ問題。
症例:10歳、女児
現病歴:四肢屈側、頚部に湿疹が繰り返すため本日当院受診し、アトピー性皮膚炎と
診断。そのとき、首に表面平滑な常色丘疹が孤立性に散発していた。1年近く前に
当院で水いぼの摘除を行っており、以後水いぼは出現していなかったという。
今回も水いぼかと考え、2個摘除した時点で、どうも摘除した時の感覚が、水いぼと
異なる。
さて診断は?
A.尋常性疣贅
水いぼは、その病理組織を想起すればわかるように、摘除時には、するっとした感覚
で取れます。今回はそうではなかったので、よもや、と思いダーモスコピーで覗いて
みたところ、点状出血が多発している所見であり、尋常性疣贅と診断しました。
液体窒素治療を実施しました。
実は、あまり知られていませんが、アトピー性皮膚炎の病変部では尋常性疣贅が
一見水いぼのような臨床像をとることがあります。
今回は、以前に水いぼの摘除歴があることから、最初は安易に水いぼと考えて
摘除してしまいましたが、最初にルーティンでダーモスコピーで覗いておくべきだった
かとも逡巡した教訓的な1例でした。