今日は、若手の皮膚科医師向けのお話。

私は先週の土曜日午後に、深部静脈血栓症を自分で診断できるようにするために

下肢静脈エコーのハンズオンスクールに参加してきました。

蜂窩織炎と深部静脈血栓症の鑑別が問題になるケースあるいは合併するケースが

あり、その見極めをエコーというその場で使えるツールでできるようにすることが目的

です。

そういう難しい症例は、紹介すればいいのでは、と考える医師もいるかもしれません。

ここからが本題です。

いわゆる境界領域の疾患というものがあります。

例えば、

まぶたの疾患→皮膚科と眼科

外陰部の疾患→皮膚科と泌尿器科ないしは産婦人科

口唇・口腔粘膜の疾患→皮膚科と歯科・口腔外科

などなど

というところでしょうか。

この境界領域の疾患については、私の今までの経験ですと、どちらの科の医師も

苦手としていることが多いものです。

ですから、例えば、「これどう考えても泌尿器科の病気でしょ」と皮膚科的に思う症例

が、「泌尿器科で、皮膚科に行くように言われた」といって受診するケースがあるし、

逆もまた然り、ということがあります。

正直なところ、この境界領域の疾患については、私も頭を悩ますことが多いのですが、

しかし、苦手を苦手のままとしておくのは、医師としてのキャパシティーが広がりません

から、できるだけ積極的に診療し、勉強もするように努めています。

簡単な例で言えば、点眼薬や点鼻薬については皮膚科医の知識は乏しい。でも、眼科や

耳鼻科の雑誌や本を読めば、通り一遍の知識は容易に身に付きます。

また、ある程度の知識が付けば、逆に、「ここから先は他科に任せるべき、あるいは併診を

お願いすべき」との自分なりの基準ができてきます。

境界領域の疾患というものは、common diseaseではないのでそもそも経験できる数が

限られていますから、なかなかスキルアップできるチャンスも多くないのが実情ですが、

そこをしっかりとクリアしていくのも、専門医たる勤めではないか、と思います。