本日の症例より。
症例:90代、男性
既往歴:狭心症でバイアスピリン服用中
現病歴:初診の1週間前に、左手のひらにすだれが刺さった。その後、同部位
が腫れてきたため、本日当院初診。
現症:写真に示す。左手掌の、第5指MP関節近傍に痂皮が固着し、そこを中心に
周囲に発赤・腫脹が目立つ。
さて、ここでまずすべきことは何でしょうか?
A超音波検査(エコー)
エコーをとってみると・・・
はい、3mmくらいの深さまで刺さる異物が見えますね。(線状の高輝度の部分)
痂皮の1.5mmくらい下の部分に異物の頭があります。
プローブを少し回転させてみて長軸方向を同定してから、局所麻酔後に
切開してみると・・・
8mm長のすだれのかけらが出てきました
エコーがないと、そもそも異物が残存しているのかどうかわからず、ブラインドで
切開するにしても、腫れのために切開線をどの方向に置くかも決まらず、しかも
バイアスピリン内服中で出血も予測される、と、ドツボにハマる可能性もある
症例です。(ちなみに切開処置はエコー撮影して異物を同定した後、1%E入り
キシロカイン局所麻酔して15分待ってから実施しました。)
エコーは腫瘍やDVTだけでなく、こういう使い方もできるので、非常に重宝
しています。