こんにちは
院長の櫻井です
当院では手術を積極的におこなっているため、皮膚のできものの相談を
受けることも多いです。基本的には、
良性腫瘍で機能障害・生活に支障を伴わないもの
→経過観察ないしは希望があれば手術
良性腫瘍で機能障害・生活に支障を伴うもの(例:まぶたの縁にあって視界
に入る、カミソリにあたって出血しやすい、化膿しやすい、など)
→手術
悪性腫瘍でいわゆる上皮内癌のもの
→手術
悪性腫瘍でそれ以外のもの
→東大病院皮膚科紹介
としています。
良性か悪性か悩ましい場合は生検(組織検査)をして確定診断してからの
判断となります。
しかし、臨床的には良性に見えても、病理組織にて悪性腫瘍の診断が
下ることもあります。
先日当院で経験したケース。
20代、女性の数年前から出現した右肩の5mm大で紅褐色の軽度隆起した
硬い腫瘤。臨床的にはangiomatoid dermatofibromaを考え、切除を希望
されたので手術したところ・・・
plexiform fibrohistiocytic tumor
でした。局所再発することのある、DFSPのような中間悪性度の腫瘍であり、
ごくまれにリンパ節・肺に転移することもあるものです。病理組織学的には
取り切れていましたので、一安心ではあるのですが、今後の長期フォロー
アップのために東大病院皮膚科を紹介しました。
こういう症例を経験しますと、安易に良性、と断言するのは危険、という
ことになりますし、また、患者さんに対する説明の仕方も考えないといけない
ですね。