今日は研修医向き症例。
症例:20代、女性
現病歴:初診の1週間前より両下腿に圧痛のある紅斑が出現し、徐々に
増数してきた。1/29に38度台の発熱が出現し、1/30当院初診。
現症:写真に示すように、両下腿に径5cm大までの境界不明瞭で
皮下に硬結を触知し強い圧痛および熱感のある紅斑が多発している。
関節痛なし。口内炎・外陰部潰瘍なし。BT36.7度(解熱鎮痛剤服用中)。
さて診断は?
A.結節性紅斑
臨床像からは典型的ですが、これは広く皮膚科医の意見を聞きたいのですが、
結節性紅斑、どこまで調べるかがいつも悩みます。僕は結節性紅斑に関しては
生検と採血(基礎疾患検索のため)をルーティンとしていますが、そこまでは
していないよ、という皮膚科医も多いと思います。
本症例に関しては、初診日は解熱鎮痛剤で平熱でしたが、前日の高熱があった
ことから、
インフルエンザ抗原→陰性
溶連菌抗原→陰性
院内迅速採血→WBC9800(Neut71.4%),CRP 0.29から重度の蜂窩織炎の併発を否定
し、なおかつ生検を実施の上、抗生剤+NSAIDs+ヨウ化カリウム内服を開始
し、初診4日目には皮疹はほぼ消失、病理組織はseptal panniculitisで
結節性紅斑と確定、ACE,cCa,ASO,ASK,IgD,Cu,sIL2-R全て正常範囲で、
一通りの スクリーニングでは基礎疾患らしきものはなく、一過性の
結節性紅斑と暫定診断しました。
結節性紅斑は決してまれではないですが、commonと言えるほどでもなく、
どこまで調べるのかコンセンサスがほしいところです。