今日は変化球。
症例:80代、男性
既往歴:特記すべきことなし
現病歴:以前より体の痒みにて他院皮膚科にて治療するも改善に乏しく
当院紹介受診。臨床的に多型慢性痒疹と診断、血液検査および蛍光抗体法
実施し水疱症は否定、適切なステロイド外用療法にて症状は著明改善した
ものの、両上肢に他部位とは異なる皮疹が残存した。
現症:写真に示すように、肘窩を中心に境界不明瞭な紅斑局面が
広がり、紅色結節が多発している。
さて診断は?
A.非結核性抗酸菌症(M.chelonae感染症)
ステロイド外用に抵抗性で結節・肉芽腫様の外観から、非結核性抗酸菌症
や深在性真菌感染症、その他肉芽腫性疾患、悪性リンパ腫などを鑑別目的に
生検を実施し、Ziehl-Neelsen染色陽性から非結核性抗酸菌症と確定診断
にいたりました。組織培養の結果は・・・
Mycobacterium chelonae陽性でした。
問診上、明らかな外傷歴は不明でしたが、写真でも明らかなように
skin tearによる瘢痕が多発しているため、そのような外傷から
感染が成立したのかもしれません。
クラリスロマイシン800mg内服にて加療を開始いたしました。