今日は教科書的典型例。
症例:80代、男性
現病歴:もともと乾燥性湿疹の診断にてステロイド外用処方
され小康状態であった。ここ最近体幹部を中心にびらんが
多発してきたため当院受診。
現症:体幹部・両大腿部に、500円玉大までのびらん・痂皮を
付着する局面が散在し、診察時にも掻破行動がみられる。
粘膜疹なし。疥癬トンネルなし。
さて診断は?
A.落葉状天疱瘡(pemphigus foliaceus)
上記を疑い血液検査を実施したところ、
WBC 6,800(Eos 10.0%),CRP 0.53,抗Dsg1抗体 533.0(<20.0),
抗Dsg3抗体・抗BP180抗体陰性,抗核抗体陰性,IgG/A/M正常
範囲内;創部からの細菌培養にてMRSA検出
でした。
初診時の採血にてB型肝炎のキャリアであることが判明したため、
まずはstrongest classのステロイド外用による治療としましたが、
効果不十分な場合は、ステロイド内服が必要となります。その際
にはB型肝炎ウイルスの再活性化を予防するために、HBV-DNAを
測定しつつの慎重なステロイド内服および、改善後のステロイド
の速やかな減量をはかるためにIVIG療法が必要となりそうな
症例です。