今日も教科書的症例。

症例:20代、女性

既往歴:アトピー性皮膚炎、ナッツアレルギー、スギ花粉症

に対して舌下免疫療法中

現病歴:1年前にフルーツジュースを飲んで10-15分後に

アナフィラキシーショック(意識消失)にて救急車で

搬送された。その後、大学病院も含めて血液検査したが、

全てのフルーツに対してRAST陰性(なお、スギ・ヒノキ・

ハンノキ・シラカンバ・ダニ・ハウスダストのRAST陽性、

ラテックスRAST陰性)であった。これ以上は検査できない

と言われたため、以降はすべてのフルーツを食べないように

している。

当院でアレルギー検査をしていることを知り、フルーツ

アレルギーの精査希望にて当院初診した。

 

 

さて、ここでする検査は?

 

 

 

 

A.prick-to-prick test(プリック・トゥ・プリックテスト)

 

prick-to-prick testは、生の食品を持参し、その食品に

針を刺し、その針でprick testを行う検査です。特に、

生鮮食品に対して行うことが多く、RAST陰性でも、本検査

にて陽性となりアレルギーが判明することもよく経験します。

今回は、食べれるフルーツ、食べれないフルーツを鑑別する

目的も兼ねて、多種類のフルーツを持参してもらい、検査を

しました。なお、アナフィラキシーショックの既往があること

から、ルート確保+モニター下に検査を実施しました。

 

検査結果↓

 

 

 

結果は、イチゴ4+、キウイ2+、リンゴ2+でした。

検査中および検査後もバイタルに異常は認めませんでした。

なお、PFASのハンノキ・シラカンバと交差する可能性の

あるフルーツは、

 

 

です。(ちなみにスギと交差反応するのはトマトで、本症例は

トマトの摂取は可能でした。)

大学病院や総合病院でもprick testを行っていない施設が多く、

当院にはこのような症例がちょいちょい受診されます。