今日は、「とある事」を想像したら背筋が凍る1例。

症例:50代、男性

現病歴:10年前より左耳前部に腫瘤を自覚。徐々に大きくなってきたため、

切除希望にて当院初診。(問診表には、粉瘤か脂肪の塊と、記載されて

いました。)

現症:写真に示す通り、確かに粉瘤らしきドーム状に隆起する腫瘤

がありますね。問題は、触診して数秒した時点で、拍動を触知した

点です。

 

 

 

エコーを取ると(縦軸方向)、

 

 

めちゃくちゃ血流ありますね。

尾側↓

 

 

頭側↓

 

 

拍動する血管(動脈)が流入・流出しています。

つまり、診断は、

浅側頭動脈瘤

です。

浅側頭動脈瘤は比較的まれな疾患で、外傷を契機に仮性動脈瘤として

発生することが多いとされていますが、真性動脈瘤の報告もあります。

自験例では、明らかな外傷の記憶は定かではありませんでした。

側頭動脈炎(巨細胞性動脈炎)も鑑別ですが、10年来無症状であること

から否定的であると思いますが、最終診断は、病理組織診断となります。

冒頭に、「とある事」を想像したら、と書いたのはお分かりですね・・・

このケースを安易に「粉瘤」と誤診して「くりぬき法」をするような

医師がいたとしたら・・・

ぞっとしますね・・・