こんにちは
院長の櫻井です
今日は病理組織検査のお話です
皮膚のできものを手術でとったあとに、良性か悪性かを調べるために、病理組織検査を行いますが、
それ以外にも皮膚科では病理組織検査を行います
というのも、一見してcommon disease(よくある病気)ではないけれども診断がつかないケースや、
診断を下して治療したがなかなか改善しないケースがしばしばありますが、その診断確定のために、
皮膚生検(手術で皮膚の一部を摘出し、病理組織検査を行うこと)を行う必要があるのです
皮膚科の病気は数が多く、しかも、皮膚の特性上、外界からの刺激により容易に変化してしまうため、
診断がつきづらいケースが多いのです
そこを長年の経験により診断していくのが臨床医の腕なのですが、どうしても視診だけでは診断がつかない
ケースがままあります
そこで皮膚生検を積極的に行うことにより、診断をしっかりつけることができるようになります
皮膚生検はもちろん小手術ですので、体に傷ができる検査ですから、むやみやたらにするわけでは
ないのですが、これは、と思うケースには私は積極的に実施するスタンスです
というのも、診断がつかないまま治療するというのは、たとえば、自分がいま現在行っている治療が
うまくいかないのが、診断が間違っているからなのか、それとも、診断は適切だけれども治療方針の
問題なのか…など悩みます
診断が違っていればいま行っている治療が的外れということも十分あるわけです
先日、4年来の後頭部の脱毛で初診された30代の患者様がいらっしゃいました
4年間変化がなく、易抜毛性もなく、炎症症状の既往もなく、白癬もなく、トリコスコピーでも特に所見がなく、
限局性強皮症を第一に考えましたが、鑑別診断として、円形脱毛症、瘢痕性脱毛症、follicular mucinosis
などを考え、皮膚生検を実施したところ、円形脱毛症でした
円形脱毛症であれば、治療の希望が持てます限局性強皮症や瘢痕性脱毛症であれば、すでに
永久脱毛となっているため、安定期に切除するしか方法はありません
そうなると、患者さまの治療に対するスタンスも当然変わってくるわけです
これを私が正しい診断をつけずに永久脱毛の病気として切除したと仮定しましょう
その場合、患部は治りますが、円形脱毛症は多発することがありますからまた別の場所に脱毛が起きたときに
その時点でどのように診断するのか…、また、診断が不適切なために余計な手術・負担を患者さまに負わせて
いることをどう解釈するのか…
ですからシャルムクリニックは皮膚生検を積極的に行うスタンスです
皮膚科で治療してもなかなか改善しないとお悩みの方は、シャルムクリニックへどうぞ