ウイルス性疣贅の治療は様々なものがありますが、これは逆に言えば、どれもこれも決め手に欠ける
からなんですね
ここでは、私がよく行う方法をメインに書いていきます。
私がよく行う方法↓
・液体窒素療法:ウイルス性疣贅治療の第一選択です。通常はまずこれを行います。
液体窒素をイボに吹きかけ、凍らせて溶ける過程でウイルス感染細胞を壊死させるだけでなく、
局所免疫を誘導させて治癒せしめる、といわれています。
通常、1~2週おきに通院し、数ヶ月から1年以上要することも珍しくありません。
長所は、簡単なこと、保険適応であること、短所は、痛いこと、何度も通院が必要なこと、水疱形成の
可能性があること、といったところでしょうか。
なお、スプレータイプの方法と、綿棒タイプの方法がありますが、前者の方が効果的かつ衛生的です。
・ヨクイニン内服:古くからイボに有効といわれているハトムギの成分であるヨクイニン(漢方薬)の錠剤を
服用します。確実に効く、という方法ではないのですが、まず副作用もない方法ですし、時々、ズバッと効く
ケースもあるので、経過が長いケースや、最初から長くかかりそうなケースで、好んで用いています。
もちろん保険適応です。
・シメチジン内服:胃潰瘍などに用いるH2ブロッカーの「シメチジン」を服用します。ヨクイニンと同様、時々、
ズバッと効くケースがあるので、経過が長いケースや、最初から長くかかりそうなケースで、好んで用いて
います。
・オキサロール軟膏外用:活性型ビタミンD3のオキサロール軟膏を、イボに外用してテープで密閉する
方法です。まわりの皮膚も含めてむけていってくれる効果があるので、イボが徐々に平坦化していきます。
これも時々、ズバッと効くケースがありますが、手などではテーピングが煩わしいのが難点です。
・MCA外用:MCA(モノクロル酢酸)を外用します。当院では足の裏のイボの液体窒素治療時にルーティン
で外用(コストフリー)しています。いわゆるピーリング効果があります。
・ステリハイド外用:ステリハイドという消毒薬をイボに塗る方法です。ステリハイドは本来は機器の消毒
などに用いる薬品ですが、これをイボに1日に何回も塗っているうちに、イボが隆起して固くなってきます。
これを爪切りやニッパーで切っていくうちにイボがなくなっていきます。
長所は、結構効くこと、家でできる方法であること、短所は、塗った部分が茶色く変色するので通常は
足の裏しか使えないこと、1日に何回も塗る煩わしさ、保険適応外(当院では自費300円で処方)であること、
といったところでしょうか。
・炭酸ガスレーザー治療:炭酸ガスレーザーで病変部を蒸発させる方法です。
長所は、1回で完治の可能性もあること、短所は、保険適応外であること、取り残しがあると結局また
再発してくること、施術者がウイルスに曝露する可能性があること、といったところでしょうか。
私からはあまりおすすめはしていない方法です。
・チガソン服用:これは最終兵器です。私は、成人のイボの多発例・難治例で使います。
チガソンはもともと乾癬の治療薬ですが、角化を正常化する作用機序から、イボも一気に平坦化していき
ます。これと液体窒素や炭酸ガスレーザーを組み合わせると、非常に効果的です。
長所は、抜群の切れ味であること、短所は、肝機能などをモニタリングする必要があること、小児では
使えないこと、挙児希望の方では使用できない(催奇形性があり、男性も含めて挙児希望の場合はNG)、
といったところでしょうか。乾癬治療に慣れた皮膚科医のみが使うべき方法でしょう。
他にも本を読むといろいろな方法が書かれています。
スピール膏貼付、ブレオマイシン局注、5FU軟膏外用、Vビームレーザー、ベセルナ外用、アラセナ外用、
アルコール綿湿布、SADBE、フェノール外用、手術
などなど。
スピール膏は欧米のガイドラインでは第一選択くらい推されているんですが、実際効果的であった
ケースは私は経験がありません。手術も取り残しがあると再発するので、基本的には実施することは
ありません。
これだけ治療があるのは、患者さまだけでなく、医療者の方も、イボの治療に頭を悩ませている
証拠なんですね・・・