こんにちは
院長の櫻井です
今日も私の診療の際のこだわりについてですが、テーマは、「真菌顕微鏡検査」です。
真菌顕微鏡検査とは、読んで字のごとく、真菌(カビ)の有無を顕微鏡で検査することを指します。
これによって、皮膚科の代表的疾患の1つである足白癬・爪白癬(水虫)の診断ができるのはもちろん
のこと、「湿疹」と診断されてステロイドを外用していても治らないケースの多くに真菌が認められる
ため正しい診断には必須の検査です。しかし、誤診して悪化してから検査するのでは遅すぎます。
そのため、初診時の時点で、検査の必要性がある症例では積極的に真菌顕微鏡検査を行う
必要性があるんですね。
それではどのようなケースで真菌顕微鏡検査を行うか?
この見極めが臨床能力というものです。
一般的には、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医であれば、顕微鏡検査をして真菌がいるかいないか
は容易に判別がつきます(つくはずです?)。実は真菌を見きわめるのも経験が必要なケース(真皮
膠原線維、モザイク菌などとの鑑別など)が多々あり、ここは、他科の先生(内科、形成外科など)が
皮膚科を標榜して皮膚科疾患を診察する場合の誤診に至りやすいトラップです。
しかし真菌症を疑うことすらしなければ、もちろん検査をすることはなく、当然、真菌症の診断には
たどり着くことはできず、すなわち、ここが腕の見せ所となってくるわけです。
真菌顕微鏡検査は簡単にできる検査ですので、少しでも疑えば、どんなに忙しくても積極的に
行い、真菌が検出できなくても疑いが残るケースでは、繰り返し行う必要があるんです。また、
場合によっては真菌培養を行います。(当院では真菌培養用の寒天培地を常備しています。頭部白癬
やトンスランスの診断に有用です。)
真菌顕微鏡検査は皮膚科医のraison d’etreとでもいうべき検査であり、私はこれを積極的に活用
しています。