こんにちは
院長の櫻井です
今日は、昨日発売の週刊新潮の「ヒアルロン酸による鼻の壊死」について書きます
以前、私も同じテーマでブログを書きましたが、
( http://ameblo.jp/charme-clinique/entry-11491054985.html
参照)
法令線、眉間といった部位にヒアルロン酸を注射することにより、血行障害を起こし、皮膚が壊死する
というケースがまれにあります
私は、他院でのヒアルロン酸注射により血行障害を起こして皮膚が壊死したケースを
4例治療した経験があります(内訳は、法令線2例、鼻尖1例、眉間1例)
血行障害は、動脈内にヒアルロン酸を注射してしまった場合や、硬いヒアルロン酸を過剰に注射して
血管を圧迫してしまった場合に起き得ます。
そのため、血行障害のリスクのある部位では、
・硬いヒアルロン酸を多く注射しないこと
・鈍針のカニューラを用いることにより血管内に注射しないようにすること
が求められます。

(↑写真は鈍針のカニューラ)
実際に血行障害を起こしてしまった時の対処方法ですが、
・ヒアルロン酸溶解注射を注射する
・血流を改善する外用薬・内服薬を使用する
ことが重要です。
(今回の週刊新潮の記事では、他の美容外科医によるコメントとして、ヒアルロン酸溶解注射による処置
は適切ではない、とありましたが、これは間違っています。というのも、確かに動脈内にヒアルロン酸を
打ち込んだ場合には、理論上は、同じ動脈内にヒアルロン酸溶解注射を注入しないといけない、という
ことになりますが、通常それは非常に難しく、周囲にヒアルロン酸溶解注射を打っても、動脈内のヒアル
ロン酸を溶かすことは困難でしょう。しかし血行障害を起こすもう一つの可能性としての、硬いヒアルロン酸
を過剰に注入し血管が圧迫されている場合に関しては、ヒアルロン酸溶解注射によりヒアルロン酸を
消失させれば、即座に血行障害は回復します。また、血行障害の結果、皮膚が壊死した場合に、
異物であるヒアルロン酸が存在することで二次感染のリスクが生じますので、動脈内にヒアルロン酸を
打ち込んだ場合でも溶解注射を注射する意味は十分にあります。なお、そのようなケースは
形成外科専門医でないと治療できない、とのコメントもありましたが、それも誤りで、理屈を知っていれば
形成外科専門医でなくとも治療は十分可能です。皮膚科専門医の私も治療できてますしね。)
しかし何よりも、そのようなリスクのある部位について正しく認識し、医学的に適切な方法で治療すれば、
このようなことは起きえないはずです。
私は上述したように、必ず、鈍針のカニューラを使用し、特に初回の患者さまについては、
少し控えめな注入量で治療を開始することにより、そのようなトラブルは起きないように
対処しています
ヒアルロン酸注射は正しく用いれば、非常に安全で、効果的な治療ですので、病院をきちんと選ぶこと
が最も大切といえます。