こんにちは
院長の櫻井です
今日は、昨日ちょこっと書いた、
アトピー性皮膚炎のフィラグリン遺伝子検査
の続き
フィラグリン遺伝子は、角質細胞内にあるフィラグリン顆粒の合成にかかわる遺伝子で、
フィラグリンが代謝されて、いわゆるNMF(天然保湿因子)として肌のバリア機能
において重要な役目を果たします。
すなわち、フィラグリン遺伝子の異常がある場合、肌のバリア機能が低下することが理解できます。
もともとフィラグリン遺伝子異常は、尋常性魚鱗癬(四肢伸側の皮膚がうろこ状となる病気)の
原因として知られていましたが、数年前に、アトピー性皮膚炎の20~30%にも、この遺伝子異常
があることがわかりました。(もともとアトピー性皮膚炎と尋常性魚鱗癬の合併がみられやすいことも
知られていました。)
しかし、逆に、フィラグリン遺伝子異常があるから、即、魚鱗癬やアトピー性皮膚炎を発症するわけでは
なく、健常人にもみられることから、遺伝子異常だけではなく、環境要因などその他の要素が発病に
関与していることも知られています。
アトピー性皮膚炎において、フィラグリン遺伝子検査が重要な意義を持つ可能性があるのが、
フィラグリン遺伝子異常がある
→肌のバリア機能の低下が終生続く
→アトピー性皮膚炎が長く続く可能性が高い
という仮説があるからです。
周知のとおり、アトピー性皮膚炎は自然治癒する疾患であり、基本的には小児に多く、小児期に
治癒しやすいものですが、成人まで持ち越したり、成人期に発症ないしは再発することも
よく知られています。すなわち、予後が読めない。
この遺伝子検査によって、長期予後を予測するひとつの要素が得られる、そういった点で、
非常に面白い検査だと思います
ご興味のある方はご相談くださいね