先日の続きです。

先日は、水いぼについての一般論をご紹介しました。

今日は、水いぼ治療にあたる皮膚科医としての経験論です。

・「自然に治るから放っておいていい、と小児科で言われたが、増えてきたので取って欲しい」と

皮膚科を受診するケースが多い。だったら少ないうちに来てくれよ、とほとんどの皮膚科医はそう

思っている。

・無数にある水いぼを、少しずつ取っていっても、次回来るときには、それを上回るくらいに

増えていることがよくある。

・何ヶ月にもわたって、水いぼを取り続けるケースがよくある。

・せっかく治療して取っても、兄弟間やプールでまたうつしあって再感染することがよくある。

・かと思いきや、無数にあったものが、取らずにヨクイニン内服処方で次回1ヶ月後再診とした際に、

激減したり、増えずに徐々に減っていることをよく経験する。

・水いぼは夏場に特に多いが、皮膚科の外来が混雑するのも夏場であり、ここに、大暴れする

水いぼの治療が入ると、外来がストップして他の方々の待ち時間が非常に長くなる。

・子供の泣き叫ぶ声が、他の患者さまにとっては、少なくとも心地のいいものではない。

というところです。

それでは、本題に入っていきましょう。

まずはイギリスのガイドライン↓

水いぼは無治療でよいし、プールの制限も必要ない

について。

これは「水いぼはいずれ自然治癒するので、お互いうつしあったところで問題ない」という考え方

によるものでしょう。

非常にすっきりした見解であると思います。医学的にはこれが正解でしょう。

前回書いた「水いぼは炎症を起こすことがある」という点についても、各炎症に対する対症療法

で十分であるし、湿疹を併発してステロイド外用を行い湿疹が軽快したが水いぼが増えること

になったとしても、いずれ自然治癒するので問題ない、とする立場であると思います。

しかし、これが日本においても、同じように適用できるか、と考えると、難しいかと思います。

日本においてこのガイドラインを適用するには、一般の方々が、「自分の子が他の子から

水いぼをもらっても大丈夫だし、他の子に水いぼをうつしても大丈夫」というコンセンサス

を持っていなければ不可能であり、この考えが昨今の我が国の現状を考えると、普及するとは

到底思えません。

次に、アメリカでの、水いぼに防水テープを貼ってプールに入る、という方法について。

何もせずにプールに入るよりは感染力は相当落ちるのでしょうが、潜伏期間のことを考慮して

いない、すなわち、無症候性排泄(水いぼがまだ水いぼとしての塊にはなっていないが、ウイルス

自体は定着していて排泄されて感染力がある状態)についての考えが抜けていると思います。

つまり、防水テープをつけて入っても、感染力はゼロではない、ということです。

そして最後に、日本小児皮膚科学会の声明。

私は、これは非常によろしくないものであり、撤回すべきと思います。

続きは次回に。

to be continued…

※シャルムクリニックは、1/8(水)より、水曜日の診療も開始いたしましたクラッカー

水曜日はまだまだ認知されていないこともあって待ち時間が非常に少ないですので、


いぼの液体窒素治療や、水いぼの治療など、定期的に同じ治療を受けられている方、


また、病状が安定しており長期間同じ薬を継続されている方、お仕事が忙しくなかなか病院の


待ち時間を確保できない方、など、水曜日の受診がおすすめです音譜

水曜日は保険診療のみの診療となりますので、自由診療ご希望の方は、それ以外の曜日の

ご受診をお願いいたします。(自由診療の、2回目以降の点滴、および、薬の処方のみの方は

受付可能です。)