先日の続きです。(にしても水いぼについてでこんなに文章長くなるとは自分でも考えなかった
なあ・・・)
さて、日本小児皮膚科学会の声明↓
プールの水ではうつりませんので、プールに入っても構いません。ただし、タオル、浮輪、ビート板などを介してうつることがありますから、これらを共用することはできるだけ避けて下さい。プールの後はシャワーで肌をきれいに洗いましょう。
の問題点について。
これが何が問題かというと、一般の方々に大きな誤解を与え、医療現場に混乱をもたらすから
です。
簡単に言いましょう。この声明には、哲学がない。
イギリスのガイドラインである、「水いぼの治療は不要であり、プールの制限も必要ない」には、
「水いぼは自然治癒するので、うつしてもうつされても問題ない」という考えが貫かれてます。
アメリカでの、「水いぼに防水テープを貼ってプールに入る」という指導も、先日書いたように
潜伏期間についての洞察が抜けてはいますが、「極力他人に水いぼをうつさぬように、しかし、
子供の楽しみを奪うのはかわいそうだからプールは極力いれてあげるように」という考えが
背景に見えてきます。
しかし、日本小児皮膚科学会のこの声明には、何も見えてこないんですね。
つまり、「タオル、浮輪、ビート板などを介してうつることがありますから、これらを共用することは
できるだけ避けて下さい」ということは、水いぼは自然治癒するので放置して構わないとする
立場ではなく、できるだけ他人にうつさないようにしましょうとする立場であるはずなのに、
タオルやビート板より感染のリスクが最も高い「接触」(つまりは子どもどうしの肌が触れ合うこと)
については何も書かれていないんですね。すなわち、感染のリスクが最も高い「接触」については
何も触れずに、「プールに入っても構いません」としている。プールで子供どうしの接触がないとでも
考えているのでしょうか。(プールが全て競泳だけであればそうかもしれませんが・・・)
タオルやビート板ですら制限する立場であるのならば、アメリカのように防水テープを貼って
感染リスクをさらに減らす方向に指導するか、プールに入っても構わないが他の人にうつさない
ために他の人と触れないようにプールの角でじっとしているように(もちろん現実的ではないですが)、
とするのが、筋なんですが、全く考えが一貫していない。
しかし一般の方は、この声明だけ読むと、額面通り、「タオルやビート板だけ気をつけておけば
プールは普通に入っていいのか」と受け取ってしまう。結果、水いぼをどんどんうつしていって
しまう。
よってこの声明は撤回すべきであると私は考えます。
続きは明日。
to be continued…
※シャルムクリニックは、1/8(水)より、水曜日の診療も開始いたしました
水曜日はまだまだ認知されていないこともあって待ち時間が非常に少ないですので、
いぼの液体窒素治療や、水いぼの治療など、定期的に同じ治療を受けられている方、
また、病状が安定しており長期間同じ薬を継続されている方、お仕事が忙しくなかなか病院の
待ち時間を確保できない方、など、水曜日の受診がおすすめです
水曜日は保険診療のみの診療となりますので、自由診療ご希望の方は、それ以外の曜日の
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受付可能です。)