先日の続き。

血液検査と並んで、食物アレルギー検査に欠かせないのが、プリックテストです。

プリックテストとは、食物抗原を前腕部に垂らし、専用の極細の針で出血しない程度に刺し、

15分後に膨疹(蕁麻疹)が生じているかを調べる検査です。

長所は、

・簡単

・安全性が高い(が、非常にごくまれにアナフィラキシーを起こし得る)

・陰性的中率が高い(この検査で陰性であった場合は、実際に陰性である確率が高い)

短所は、

・偽陽性(実際にはアレルギーがないのに、アレルギーがあると出てしまう)、偽陰性(実際には

アレルギーがあるのに、アレルギーがないと出てしまう)がある

・血液検査と違って、反応の大小と、アレルギーの有無の確率の間に相関関係がない(つまり、

血液検査のプロバビリティーカーブと違い、膨疹の直径が大きいものほどアレルギーがある確率が

高いということにはならない)

・商業ベースで扱っている食物抗原の試薬の数および感度が限られる(これに関しては、as is、

つまり、その食物を検査時にそのまま持ってきてもらえば、食物そのものを抗原として使えるので

解決します)

ということがあげられます。

特に、生後6ヶ月未満の乳児の場合は、先日の記載通り、血中抗体価が低く偽陰性となることが

ありますので、その月齢に関しては、プリックテストの信頼度がより高くなります。

また、OAS(口腔アレルギー症候群)においては、最も重視される検査となります。

通常は、問診・病歴から疑わしい食物をピックアップし、血液検査およびプリックテストを実施し、

可能性のある食物を絞り込みます。

そして、疑わしい食物が2品目以内である場合は、食物除去試験(試しに2週間程度、その食物を

除去してみて、臨床症状の改善が見られるかを判定する)を行い、必要に応じて、食物負荷試験

を行います。疑わしい品目が3品目以上である場合は、特にそれが日常的に食べている食物で

ある場合、多種類を完全除去するのは現実的になかなか困難ですから、食物負荷試験を行い、

実際にアレルギーがあるのかどうか、あるいは、アレルギーがあったとしてもどの程度の量まで

食べられるのか、を判定する流れとなります。

この食物負荷試験は、最も確実な検査ですが、やはり、安全面では最もリスクのある検査となります

ので、専門の医師(通常は小児科医)が、必要に応じては入院して実施するように、ガイドライン上

も定められています。

皮膚科医である私の場合、積極的に血液検査・プリックテストを行い、疑わしい食物を絞込み、

食物除去試験までを行っております。食物負荷試験が必要と考えられるケースは、外来で大丈夫そうな

ケースに関しては、外来食物負荷試験を実施している近隣の小児科クリニックを、入院が必要そうな

ケースに関しては、小児アレルギーの総本山である国立相模原病院(以前、私も皮膚科勤務医時代

に在籍していた病院で、相模原病院の小児科は食物アレルギーに非常に強く、茶のしずく石鹸による

小麦アレルギーを発見したのもここの小児科の先生です)をご紹介し、連携プレーで診療にあたって

います。

特に小児の食物アレルギーは奥が深く、だからこそ、診療においてはやりがいを感じます。

※シャルムクリニックは、2014年より、水曜日の診療も開始いたしましたクラッカー

水曜午前9:00-12:00 吉崎 麻子 医師 (東京大学医学部附属病院皮膚科)
水曜午後15:00-19:00 市村 洋平 医師 (東京大学医学部附属病院皮膚科)

による診療となります病院

水曜日はまだまだ認知されていないこともあって待ち時間が非常に少ないですので、


いぼの液体窒素治療や、水いぼの治療など、定期的に同じ治療を受けられている方、


また、病状が安定しており長期間同じ薬を継続されている方、お仕事が忙しくなかなか病院の


待ち時間を確保できない方、など、水曜日の受診がおすすめです音譜

水曜日は保険診療のみの診療となりますので、自由診療ご希望の方は、それ以外の曜日の

ご受診をお願いいたします。(自由診療の、2回目以降の点滴、および、薬の処方のみの方は

受付可能です。)