こんにちは
院長の櫻井です
シャルムクリニックは、クリニックレベルのみならず総合病院でも珍しく、全身型ナローバンドUVB
療法、エキシマライト療法、分割照射型ナローバンドUVB療法の3種類の光線療法を実施している
クリニックです(もちろん、松戸・市川およびその近郊では当院のみです)
~光線療法とは?
「光線療法」とは、あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、皮膚科の治療の中では薬物治療・外科的治療に並ぶ大きな柱の一つであり、また、他の科にはない特徴でもあります。
歴史的にはGoeckerman療法が有名ですが、現在主に行われている治療としては、PUVA療法・ナローバンドUVB療法・UVA-1療法、エキシマライト療法があります。
それぞれ長所・短所、適応疾患の若干の違いなどがありますが、当院では、ナローバンドUVB療法およびエキシマライト療法を採用しております。ともに保険適応の治療です。
私は東大病院皮膚科の乾癬外来および病棟において豊富な紫外線治療の経験があり、乾癬・掌蹠膿疱症・白斑・円形脱毛症・難治性アトピー性皮膚炎・皮膚掻痒症・結節性痒疹・類乾癬・皮膚悪性リンパ腫などの患者さまにぜひおすすめしたい治療の一つです。
そのためか、難治性の円形脱毛症の方も多く受診されます。
発症して6ヶ月未満の比較的早期の方に対しては、ステロイド外用、抗アレルギー剤内服をベース
とし、適宜、液体窒素療法、光線療法、ステロイド局所注射を組み合わせ、それでも病勢がおさまらない
場合は、短期間の内服ステロイドパルス療法を定期的に行い、上記の治療を根気強く複合的に組み
合わせることで、かなり良好な成績を得ています。
しかし、発症して6ヶ月以上経過しても発毛が見られないことを主訴に受診される方もいらっしゃいます。
そのときに効果が期待できるのが、局所免疫療法という特殊治療で、日本皮膚科学会のガイドライン
においても、推奨度Bと、第一選択に挙げられています。この治療は、SADBEやDPCPという、人体に
とって強烈にかぶれやすい薬剤を脱毛部位に塗布することにより、同部位に接触皮膚炎(かぶれ)を
惹起し、局所の免疫状態を変化させることにより、発毛を促す、という療法です。(そのため、この治療
を行う際には、せっかく起きた接触皮膚炎を抑制してしまうので、自家感作性皮膚炎のような猛烈な
かぶれが起きない限りは、同じ部位にステロイド局所注射やステロイド外用は併用しません。)
当院でも現在数名の方にSADBE療法を実施しています。
最初に感作させるために、高濃度のSADBE溶液を脱毛部にパッチテストを行ってから、
感作成立を確認後に低濃度のSADBE塗布を開始する(脱毛部位が狭い場合は上腕でパッチテスト
を行います。)のですが、効果的なケースにおいては、最初のパッチテストを行った脱毛部位から
まずは良好な発毛が見られます。
ところがSADBEで感作成立しないケースや、当初はSADBEで紅斑反応が出現していたが徐々に
反応が減弱して、濃度を上げてもほとんど反応が見られなくなってしまうケースも、中にはあります。
そのため、これまでは当院では局所免疫療法としてSADBE療法のみの取り扱いでしたが、SADBEの
無効例をカバーするために、このたび、DPCP療法も採用しました。(SADBEとDPCPのどちらがより
効果がある、というものではなく、局所免疫療法を行っている施設であれば、通常はどちらか一方
のみしか採用していないか、あるいはどちらか一方を最初に使い、もう一方はバックアップとします。)
大学病院の脱毛症外来などでは、これらの溶液を自宅で塗布できるように患者さんに処方(処方箋
では発行できないので自費で)しているところもありますが、昨今の訴訟社会を考えると、また、
開業医という立場で考えると、さすがにこのような薬剤を素人の患者さんに渡すのは私的には怖い
ので、院内で塗布するというようにして、局所免疫療法を行っています。
なかなか円形脱毛症が治らずにお悩みの方は、局所免疫療法が適応かもしれません。
シャルムクリニックまでご相談くださいませ。