本日の症例より。

20代、ベトナム人女性。

本日朝に日本に留学目的に入国。入学時の説明会時に、部屋に蜂(種類不明)が入ってきて、

左手第4指を刺されたため、当院初診。日本語は全く話せず、通訳の女性も同伴。

15分ほど待っている間に気分が悪くなってきたため、即座に点滴ルート(ステロイドおよび抗ヒスタミン薬

混注)を取り、モニターを装着したところ、SpO2は99%であったが、血圧は70/40まで低下していた。

ベトナムにおいて蜂に刺された既往はある(種類不明)とのことであった。

ボスミン0.3ml筋注をまず実施し、最初の点滴終了後はラクテックを全開で点滴継続としてモニター管理

でフォローアップ。ボスミンを2回注射したところでは血圧はまだ上がらず、呼吸困難感もやや改善する

も持続。最終的にはボスミンを3回注射したところで、呼吸困難感も軽快し、気分もよくなり、

血圧も90/60→107/70まで改善。(その間に、手指に蜂の針が残存していたために、ブロック麻酔下に

周囲の組織を含めて摘出。)

その後もしばらく点滴下にモニター管理したが、症状の再燃はなく、自覚症状も軽快したため、

蜂のRAST検査を提出の上、内服ステロイドおよび抗ヒスタミン剤の内服を処方し、帰宅とした。

明日再診を指示し、エピペンを処方予定。

蜂刺症によるアナフィラキシーは非常に有名ですが、通常は救急外来を受診してしまうので実際に

一般外来診療で遭遇することは滅多になく、肝を冷やした症例でした。