今日は、若手の皮膚科医師向けのお話。
いわゆる境界領域の疾患というものがあります。
例えば、
まぶたの疾患→皮膚科と眼科
外陰部の疾患→皮膚科と泌尿器科ないしは産婦人科
口唇の疾患→皮膚科と歯科・口腔外科
などなど
というところでしょうか。
この境界領域の疾患については、私の今までの経験ですと、どちらの科の医師も苦手としている
ことが多いものです。ですから、例えば、「これどう考えても泌尿器科の病気でしょ」と皮膚科的に
思う症例が、「泌尿器科で、皮膚科に行くように言われた」といって受診するケースがあるし、
逆もまた然り、ということがあります。
正直なところ、この境界領域の疾患については、私も頭を悩ますことが多いのですが、しかし、
苦手を苦手のままとしておくのは、医師としてのキャパシティーが広がりませんから、できるだけ
積極的に診療し、勉強もするように努めています。簡単な例で言えば、現在、花粉症シーズンですが、
点眼薬や点鼻薬については皮膚科医の知識は乏しい。でも、眼科や耳鼻科の雑誌や本を読めば、
通り一遍の知識は容易に身に付きます。
また、ある程度の知識が付けば、逆に、「ここから先は他科に任せるべき、あるいは併診を
お願いすべき」との自分なりの基準ができてきます。
境界領域の疾患というものは、common diseaseではないのでそもそも経験できる数が限られて
いますから、なかなかスキルアップできるチャンスも多くないのが実情ですが、そこをしっかりと
クリアしていくのも、専門医たる勤めではないか、と思います。