こんにちは
院長の櫻井です
今日は、少し難しい問題です。
症例:8歳、女児
現病歴:初診の2日前から頸部に粟粒大の紫斑が出現し徐々に増加、腹部・大腿部にも出現してきた
ため当院初診。先行する感冒症状、関節痛、腹痛など、皮疹以外の症状は全くなし。
さて診断は?
A.血管炎(おそらくHenoch-Schonlein紫斑病)
紫斑型中毒疹を最も疑いましたが、Henoch-Schonlein紫斑病の場合には長期的に腎炎が起きる
可能性があるため、同日、血液検査・尿検査に加えて、皮膚生検を実施しました。
結果、病理組織学的に血管炎との診断に至りました。
血液検査上は、P-ANCA・C-ANCAなど全て陰性、IgAも正常範囲内、尿検査に異常所見は
ありませんでした。
生検組織の蛍光抗体法は実施しておりませんので、正確にはHenoch-Schonlein紫斑病との
確定診断ではないのですが、臨床的にはAGPBなどは考え難く、おそらくHenoch-Schonlein紫斑病
と考えました。(何より、長期的に予後に影響しうる疾患を鑑別から簡単には外せません。)
1週間後の抜糸の時には全ての紫斑は消失し、経過中に他の症状の出現もありませんでしたが、
今後、定期的な尿検査・腎機能検査を行う必要があると考え、総合病院小児科を紹介としました。
この症例が難しかったのは、初診時には典型部位である下腿には紫斑が見られなかった(初診
翌日の生検部位の消毒時に数個出現していた程度)点であり、全く以て、非典型的でした。
やはり小児の紫斑には要注意、と改めて思いました。