本日の症例より。

症例:30代、男性

現病歴:もともとアトピー性皮膚炎で他院に通院中であり、抗ヒスタミン剤内服、ステロイド外用剤

にてコントロールはまずまずであった。ここ1ヶ月ほど急に頭の痒みが強くなり、strongest classの

ステロイド外用剤を使用するも改善なく、同部に激しい脱毛を伴ってきたため当院受診。

既往歴:特記すべきことなし

現症:頭部の広範囲に落屑性紅斑が広がり、強い痒みを伴う。特に前頭部の生え際、頭頂部では

脱毛が激しく、疎らとなっている。易抜毛性なし。真菌顕微鏡検査は陰性。

まずはアトピー性皮膚炎に合併しやすい円形脱毛症を鑑別する必要があります。

ダーモスコピー上、明らかなtapering hairがないこと、yellow dotsもなく、切れ毛が目立っていたことから、

円形脱毛症の合併よりは、湿疹続発性の脱毛を考えました。(もちろん円形脱毛症が併発している

可能性を完全には否定はできませんが。)

さて、ここで選択した治療は?

A.シクロスポリン内服

体重67kgでしたので、150mg分1(朝食前)で開始としました。

湿疹続発性の脱毛である場合、あまりに掻爬が激しい場合は瘢痕性脱毛となり得るため、

急いで症状を取る必要がありますから、即効性のあるシクロスポリン(CyA)がこの場合には最適

だと考えます。ステロイド局注併用もいいでしょう。

脱毛がさほどなく、急ぐ必要がなければ、頭皮に対するエキシマライト照射も選択肢ですが、

本症例においては即効性が求められるため、CyA内服を選択しました。

(もちろん、開始時の血液検査(B型肝炎のスクリーニング検査含む)・尿検査、血圧測定を

することは当然です。)