よく同業者や非常勤のドクター、あるいは業者の方から、

当院の機械の多さに驚かれます。

もちろん、機械集めは僕の趣味も入ってはいるのですが(笑)、

機械が結果的にたくさんあるのは、診療の幅を広げることだけ

ではなく、診療を簡単にすることにもつながるため、導入して

いる側面があります。

たとえば、血算・CRP迅速測定器。内科や小児科であれば普通に

おいてある機械ですが、通常皮膚科ではあまりお目にかかりません。

しかし、これがあることにより、その場で丹毒や蜂窩織炎の入院適応の

判断や、外来点滴治療中の効果判定に役に立ちますし、あるいは感染性

蕁麻疹におけるステロイド導入の可否についての判断にも寄与します。

これがないと、判断が1日遅れ得るため、感染症においては重篤化する

リスクが出てきます。

次に、SPP測定装置を置いてある皮膚科はそうはないと思います。当院

に導入を決めた理由は、陥入爪手術が多いためです。それこそ80代、

90代の陥入爪の患者さんも受診されるので、PADがありますと外科的処置は

禁忌となりますから、自分の身を守るためにも大切です。また、重症の

凍瘡でSPPを測定してPADであった、という経験もあります。この機械、

かなり高い(CO2レーザー2台分くらい)のに、診療点数は非常に安く、

赤字超垂れ流しの機械ですが、ここぞという時に重宝しています。

また、光線療法の機械も診療を簡単にしてくれます。痒みの強い湿疹・

皮膚炎群の治療において、通常の抗ヒスタミン剤・ステロイド外用剤

のみで効果がはかばかしくなく、しかも、シクロスポリンを導入するのは

保険上あるいは年齢上・基礎疾患上困難である、という場合に、光線療法

は非常に有用です。困った時の光線、というくらい、気軽に追加できます

し、効果もあります。

つまり、機械があることにより、余計に頭と気と時間を使わなくて済む、

というメリットがあるんですね。そして、そこで浮いた部分を他に注力

できるので、効率が良い。ですから、僕は、今後も、診療のクォリティー

をあげていくために、必要な機械は、赤字であっても導入していくつもり

です。