今日は、こういう疾患もあるのか、という問題。

症例:中学生、女子

現病歴:2年前から両手の第2-4指のPIP関節部の腫脹が出現した。

リウマチ内科を受診し、血液検査にて関節リウマチや膠原病は否定的

とされた。整形外科を受診し、レントゲンで骨に問題はないと言われた。

精査希望にて当院初診。

 

現症:写真に示すように両手第2-4指PIP関節部の側方が腫脹している。

腫脹部位は常色で、圧痛等自覚症状なく、運動機能にも異常なし。

 

 

関節エコー所見:滑膜炎・付着部炎・骨棘・骨びらんの所見なく、

軟部組織の腫大のみ。

 

 

さあ、困りました・・・。なんでしょう・・・

まずMRIを撮影しました。

 

 

エコーと同様に軟部組織の腫脹のみで、放射線科のレポートでも

これといった診断病名はありません、と書かれてしまいました。

 

 

さて診断は?

 

 

 

A. pachydermodactyly

 

 

pachydermodactylyは、典型的には、思春期男性の第2-4指PIP関節側方の

軟部組織の腫脹を呈する、稀な疾患です。

慢性的な刺激が原因とも考えられているようですが、本症例では、1年間

バレーボール歴があるのみで、特に問診上は慢性的な刺激の関与は明らか

ではありませんでした。

治療は基本的には必要なく、整容的に気になる場合は、側方の皮膚及び

軟部組織切除や、ケナコルト局注となります。