先日の診察。

他のドクターから、コンサルを受けました。

17歳男性の腕の、ここ最近できた線状の皮疹をみてほしいと。

「線状苔癬でいいですか?」

線状苔癬は典型的にはもっと小児に好発する(ただし成人例がないわけ

でもない。それを言うと、ILVENも鑑別に・・・)ので、歩きながら、

線状扁平苔癬やBlaschkitisとかかなー、と考えながら診察室へ。

確かにぱっと見、右上腕から右前腕・右手背に2列にわたって、軽度の掻痒

を伴う、ごく軽度隆起する1cm大程度の褐色斑が線状に多発していました。

しかしよーく見てみると、紫色調を帯びています。

ダーモスコープで見てみると紫色の局面内にpepperingが見えます。

「pepperingがあるので組織学的色素失調がありますね。」

つまりは表皮に対するattackのある疾患である、ということです。

褐色調にも見えたのはこれを反映していたのでしょう。

紫色で線状、この2ワードで、線状扁平苔癬はほぼ決まりです。

さあ、最後のとどめのアレを探すとしますか。

手背の皮疹をダーモスコープで見ると、ありました、葉脈状の白色局面が。

「Wickham線条ですね。これで線状扁平苔癬で決まりでしょう。」

その後、診察にて、粘膜疹は無し、歯科金属も無し、薬やサプリメントの

内服も無く、基礎疾患もありませんでした。

まずはステロイド・ビタミンD3配合薬の外用としました。

 

僕ら皮膚科医は、ちらと見ただけで診断しているように見えますが、実はこんな

風にいろいろ考えながら診察しているわけです。