今日はDiagnosis at a glance(見た瞬間診断)で。

症例:60代、男性

既往歴:高血圧、アルコール性肝機能障害

現病歴:右下腿の痒みに対して他院内科にて2年間マイザー軟膏を

外用中。外用で痒みは落ち着くが皮疹が悪化傾向のため当院初診。

現症:写真に示す。

 

 

 

さて、治療は?

 

 

A. 抗真菌薬内服

 

 

ステロイド外用で増悪する広範囲の環状紅斑であることから、真菌症は

容易に想定できますね。実際、鱗屑からの顕微鏡検査で真菌要素を多数

認めました。

さらに、体部白癬を見たら、足を必ず確認する必要があるので、足を

見ますと、爪の混濁が明らかですね。爪からも顕微鏡検査陽性でした。

つまり、診断としては、爪白癬、足白癬、体部白癬となります。

治療としては、抗真菌薬内服、抗真菌薬外用が選択肢となります。

今回は抗真菌薬内服を選択しました。

理由としては、

・体部白癬部位に、痒みによる搔破・湿疹性変化があるため、抗真菌外用薬

による接触性皮膚炎を起こす可能性がある

・体部白癬が広範囲なので、外用薬よりは内服薬の方が管理が容易

・爪白癬が残るうちは常に白癬菌のリザーバーとなるため、爪白癬をしっかり

治療する必要があり、爪白癬の治療は、圧倒的に内服薬の方が効果的

・長期間のステロイド外用を中止する結果、リバウンドにより浮腫が強く

起きる可能性が高く、内服薬の方がその症状を管理しやすい

となります。

内服時に懸案となるのが既往歴のアルコール性肝機能障害ですが、問診にて

AST/ALTは二ケタ台、γGTPは150程度ということでしたので、内服可能と

判断しました。(もちろん血液検査も併せて実施。)