今日は、中級レベルの出題。

症例:40代、女性

既往歴:バセドウ病で内科にて定期的に経過観察中

現病歴:以前からある頬のシミが気になり当院初診。

現症:

 

 

一番左はダーモスコピー所見にてLPLK(扁平苔癬様角化症)でした。

治療は、患者さんと相談して、Qスイッチ・ルビーレーザー治療(複数回

要するかもと説明)としました。

その隣に環状の褐色斑が2個あります。

ダーモスコピー所見は、

 

 

furrow ink testをすると、

 

 

さて診断は?

 

 

 

A.汗孔角化症(porokeratosis)

 

 

ダーモスコピー所見のperipheral rim、ink testで毛孔ないしは汗孔に

色素が染まるのは、本疾患の特徴です。

 

前腕を見ると、

 

 

同様の皮疹がありました。

体幹部や上腕・下肢にはないとのことでした。

最終診断は?

 

 

A.disseminated superficial actinic porokeratosis(DSAP)

 

 

既往歴に免疫抑制薬の服用はなく、また定期的に内科で経過観察中で

基礎疾患を他にも指摘されていないことから、特発性のDSAPと考え

ました。

porokeratosisは有棘細胞癌に進展することもあることから、治療ないし

は少なくとも定期的な経過観察は必要な疾患です。

今回、顔のporokeratosisの治療として、Er:YAGレーザーを選択しました。

(Qスイッチレーザー治療が効果的であった報告もありますが、過去に、

シクロスポリン内服後の本疾患の患者さんにQスイッチ・ルビーレーザー

治療した際に無効だった経験があります。)

 

治療後↓

 

 

 

 

このように、「シミ」と一言でいっても、一筋縄ではいかないところが

奥深いですね。