今日はDiagnosis at a glance(見た瞬間診断)で。

症例:60代、男性

既往歴:高血圧

現病歴:6か月前に当院で右耳介日光角化症切除+皮弁再建を実施。

術後の経過観察診察の時に、約1年前から続く手指のはれぼったさを

相談された。

現症:写真に示す。

 

 

左第2指

 

 

右第5指

 

 

左第5指

 

 

 

さて診断は?

 

 

 

A.全身性強皮症(抗セントロメア抗体陽性)

 

 

全体像の写真で手指が白っぽくなっているのはRaynaud症状です。

(本日再診時に撮影。雨で寒かったので誘発されたのでしょう。)

本件での初診時にはRaynaud症状はありませんでしたが、手指のはれ

ぼったい感じの主訴から、Raynaud症状について問診したところ同症状

がありました。ダーモスコピーで見てみると、NFB複数指に陽性・線状

出血・爪上皮延長・後爪郭の拡張した異常な毛細血管のループが認められ

ました。

全身性強皮症を強く疑い血液検査実施し、抗核抗体×320(centro)、抗セント

ロメア抗体240↑、抗Topo-1抗体陰性、抗RNAポリメラーゼⅢ抗体陰性、

抗RNP抗体陰性、抗ARS抗体陰性、抗SS-A抗体陰性、KL-6正常範囲でした。

東大病院強皮症センターで肺高血圧を含めた全身精査予定です。

強皮症、エリテマトーデス、皮膚筋炎などの膠原病は、頻度は低い疾患です

が、決してまれではなく、当院でも年数例を経験します。生命予後に影響

しうる疾患ですので、正しい診断が重要です。