今日はDiagnosis at a glance(見た瞬間診断)で。
症例:70代、男性
現病歴:2週間前に左側腹部の帯状疱疹に対して近医で内服加療
した。1週間前頃から左側腹部の膨隆を自覚し、前医で相談した
ものの、よくわからない、ほうっておいて、と言われた。
同症状に対して診断目的に当院を初診した。
現症:左側腹部に帯状疱疹後の色素沈着がある。左側腹部はやや膨隆
している。便秘なし。全身状態良好。
さて診断は?
A.帯状疱疹による腹筋麻痺
膀胱直腸障害なく、上記と診断しました。
念のため腹部CT撮影しましたが、腫瘤・イレウス所見はなく、また、
無自覚の腰椎圧迫骨折を指摘されました。
帯状疱疹による腹筋麻痺は、知っていれば診断は容易ですが、僕も
これまで本症例を含めて4例程度しか経験がなく、そんなにお目に
かかることは多くはないかなと思います。
3~6か月程度で自然治癒することが多いとされ、腰椎圧迫骨折も
あることからステロイド内服はせず経過観察としました。
なお、当患者さんは、腹部の膨隆に対して前医でよくわからない、
ほうっておいていい、と言われ、タクシーに乗っているときに運転手
さんにそれを言ったところ、「いい皮膚科があるよ」と言われ、当院初診と
なったとのことでした。