こんにちは
院長の櫻井です
顔の赤みに対してステロイドやタクロリムスを処方されたが改善しない、と受診されるケースを
多く経験します。
その場合、酒さや接触皮膚炎を考えるのですが、もう一つ、考えるべき疾患(?)があり、
それが、毛包虫性皮膚炎、いわゆる、ニキビダニです。
ニキビダニとは、ある程度の年齢になれば多くの人が常在菌ならぬ常在虫として毛包・脂腺に
飼っているダニであり、その病原性に関しては様々な議論があるところですが、最近、酒さの
研究が進むにつれ、クローズアップされています。
そもそも酒さという疾患は接触皮膚炎を合併しやすいため、その診断および治療にあたり
パッチテストを行うことも多く、パッチテスト陽性の化粧品・日用品類を取り除いても残る皮膚病変
に対して、酒さとしての治療を行います。しかし、酒さという疾患は敏感肌の状態ですから、
各種外用薬に対しても刺激反応が強くかえって悪化することもしばしば経験しますし、タクロリムス
もその治療薬として用いるのですが、ひどく増悪することも少なからずあります。そのような
病態の時にはどうやら実はニキビダニが悪さをしているらしいことが最近わかってきました。
つまり、酒さにおいてニキビダニを合併するケースが少なからずあるんですね。
ニキビダニがいるかどうかは鱗屑からの顕微鏡検査で容易に診断できますし、治療法も
決まっています。
ですから、酒さを最初に診断する際には、ルーチンでニキビダニをチェックするように心がけています。