今日は教科書的典型例から。
症例:70代、男性
現病歴:抗GBM抗体陽性糸球体腎炎により総合病院で透析中。初診の1か月前
より、急に全身に軽度の掻痒のある紅斑が多発してきたため、同院皮膚科を受診。
perforating diseaseを疑われレミッチ、アレグラ、ポララミン、アンテベート+ヒルドイド
を処方されるも変化がなく、光線療法の適応に関して2017/7/8に当院にコンサル
された。
既往歴:高血圧・不整脈 ;肝炎の既往はない
現症:略全身に小指爪甲大程度で軽度の掻痒を伴う均一な角化性紅斑が多発
している。口腔内に皮疹はない。
さて診断は?
A.扁平苔癬型薬疹
ダーモスコピーで葉脈状の白色線条があり、扁平苔癬を第一に考え、鑑別として
乾癬を挙げました。角栓を伴う皮疹がなくperforating diseaseは否定的と考えました。
初診日当日に生検を実施の上、全身型narrow band UVB療法を開始し、7/18の
抜糸時に、病理組織では扁平苔癬型薬疹疑い(つまり典型的な扁平苔癬とは異なり、
parakeratosis、eosinophil infiltrationの所見が陽性)でしたので、主治医に、扁平苔癬
型薬疹の報告のある内服薬(3年前より服用中のアテレック、ドキサゾシン、メインテ
ート)の変更を依頼し、7/21より変更(アダラート、ワソラン)となりました。以降、
光線療法も併用していますが、8/11の時点で皮疹はかなり消退してきています。
扁平苔癬型薬疹は、長期服用中の降圧剤・利尿薬などが原因であることが多く、
自験例でも同様でした。また、原因薬剤投与を中止してから改善するのに数ヶ月
を要することも多いのが特徴ですが、自験例においては光線療法が改善を加速して
くれたためか速やかに皮疹は消退してきています。