こんにちは
院長の櫻井です
当院には重度の乳児湿疹やアトピー性皮膚炎で受診されるお子さんが多いのですが、
適切な外用治療で改善に乏しい場合に、食物アレルギーの検査(血液検査および
プリックテスト)を積極的に行っております。もちろん血液検査・プリックテストで陽性反応
が出たからアレルギーがあるとは即断できませんし(卵白・牛乳・ω5グリアジンには
プロバビリティーカーブはありますが。)、陰性だからアレルギーがないとも断言できず、
最終的には、除去試験をし、必要であれば負荷試験を適切な施設に依頼することも
あります。
やはりアレルゲンとして多いのは、卵白・牛乳・小麦・大豆・ごまというところですが、
最近、重度の乳児湿疹において、立て続けに魚アレルギーを経験しました。
1例は血液検査においてマグロRAST5と強陽性で、除去試験にて臨床的に明らかに
改善した3歳児。1例はプリックテストにてマグロ陽性・サケ陰性で、その後、メカジキ・
タラ・スズキ・サケを持参してのprick-to-prick testにてメカジキのみ陽性であった0歳児。
魚アレルギーは、魚に共通するパルブアルブミンに対するアレルギー反応であるものが多く、
そのため様々な魚に交差反応することが多いのが特徴です。パルブアルブミンは血合筋
には少ないため、むしろマグロには少なく、白身魚に多いのですが、その意味で、上記の
症例の2例目はマグロ特異タンパク質に対するアレルギー反応であると推察されます。
そして、本日の症例において、マグロもサケもプリックテストにて陽性反応が出現した
3ヶ月児があり、ひょっとするとパルブアルブミンに対するアレルギー反応なのかと考え、
早速、様々な魚を持参してのprick-to-prick testを計画しました。
魚アレルギーはそんなに多くないはずなんですが、当院に難治例・重症例が多く集まる
ため、多く経験するのか、はたまた、発生率が増えているのか・・・
ほかにも時々ジャガイモアレルギーを経験しますし、なかなか一筋縄でいかないのが、
小児皮膚疾患の難しいところでもあり、面白いところでもあります。