今日は超難問。

症例:70代、男性

現病歴:5年前から手足に痒みを伴う小水疱が多発し、他院で異汗性湿疹

の診断にてデルモベート軟膏外用をしたが改善せず、当院初診。

初診医も異汗性湿疹の診断にて光線療法(XTRAC)を開始したが、

改善に乏しく、経過中、他部位にも皮疹が出現してきた。

現症:写真に示すように、掌蹠に小水疱・落屑を認め、足底では

癒合する部分もある。背部にわずかに淡紅斑が散在、両耳に血痂を

固着し、掻痒を伴う。

 

 

 

 

 

さて診断は?

 

 

A.落葉状天疱瘡

 

 

当初、自家性感作性皮膚炎を最も考えましたが、難治性の異汗性湿疹から

汗疱様類天疱瘡の鑑別も必要と考え、血液検査をしたところ・・・

 

WBC 9400(Eos 5.7%)、一般生化学検査異常所見無し、抗BP180抗体陰性、

抗Dsg-1抗体 27.9↑(<20.0)、抗Dsg-3抗体陰性

 

でした。そこで皮膚生検を実施したところ、蛍光抗体直接法で表皮細胞間

に陽性であり、落葉状天疱瘡の確定診断に至りました。

掌蹠の角層は分厚いためにびらん形成せず異汗性湿疹様の臨床をとったの

だと考えます。

PSL25mg(0.5mg/kg)内服を開始し症状は消失、現在PSLを15mgまで漸減中で

皮疹の再燃はなく抗Dsg-1抗体も13.3と低下し正常範囲内を維持しています。