こんにちは
院長の櫻井です
当院では、他院でよくならなかったと受診される小児の皮膚炎を多く治療しており、そういったケースに
おいて、かなりの確率で、食物アレルギーの合併が見逃されていることを経験します。
小児の皮膚は成人に比べて薄く、つまり薬も効きやすいはずなのに、実際に効果が出づらい場合は、
・不適切な外用薬を使用している
・適切な外用薬を使用しているが使用方法が間違っている
・食物アレルギーを見逃している
のいずれか、あるいは、いくつか、であり、特に0歳~1歳児においては、かなりの確率で
食物アレルギー(特に卵白・牛乳によるもの)が隠れています。小児の食物アレルギーの診断は、
プリックテストやプロバビリティーカーブを指標とした血液検査によって大体の当たりがつきますので
それほど難しくはありませんが、多抗原陽性の場合などは食物負荷試験を専門の小児科に依頼
して診断を確定することもあります。
食物アレルギーの診断がついた場合に、離乳食からの除去および母乳を与えている際の母親の
制限食が有効であるのは論を待たないですが、ここで、どうも誤解をされてしまう方が多いので
書いておきますと、
食物アレルギーが湿疹の全てではない
ということです。
つまり、食物アレルギーは湿疹の増悪因子の一つであり、湿疹を難治性たらしめる重要なファクター
ではあるのですが、食物を制限したから湿疹が出なくなるわけではない、ということです。
これは食物アレルギー診療のガイドラインにも掲載されていることですが、スキンケアはスキンケアと
して継続しなければなりません。そもそも乳児は皮膚が脆弱であり、そのバリア機能の未熟さ故に
食物抗原の経皮感作が成立し食物アレルギーを発症するという仮説が有力ですが、それを勘案
すれば、なおさらスキンケアの重要性が高まるというものです。
すなわち、食物アレルギーと湿疹は、共通部分もあるが互いに独立する部分もあるので、
それぞれにおいて治療が必要ということになります。