先日の続き。
そもそも、食物アレルギーかどうかの、絶対的確定診断に至る検査方法は、やはり、
食物負荷試験(食物を食べさせて反応を確かめる検査)であることは、論をまちません。
しかし当然、負荷試験にはリスク(アナフィラキシーなど)がありますから、極力、リスクの少ない
範囲で検査・診断をしたいものです。
そこで、体に負担のない検査として血液検査(RAST)、リスクはゼロではないけれども非常に少ない
検査としてプリックテストを、通常はまず実施します。
血液検査は、いわゆる採血で実施します。
長所は、
・簡単
・安全面でのリスクがない
・特に乳児期3大アレルゲンのうちの卵白・牛乳に関しては、血液検査の数値と、アレルギーが
実際にあるかどうかの確率との間に相関関係がある(プロバビリティーカーブ)
短所は、
・偽陽性(実際にはアレルギーがないのに、アレルギーがあると出てしまう)、偽陰性(実際には
アレルギーがあるのに、アレルギーがないと出てしまう)がある
・乳児では採血が困難(ただし、卵白・牛乳・小麦に関しては、指先からのごく少量での血液から
定性検査を行える簡易キットがある)
ということがあげられます。
実際、偽陽性は、小児期に特に多く見られる印象があり、そのために、プロバビリティーカーブ
がある食物では、それを用いた判定が必要となります。(例えば、卵白でRAST2で陽性と判定
されても、実際のIgE抗体価を用いたプロバビリティーカーブでの判定が30%未満ということであれば
RAST陽性でも、アレルギーはなさそう、という判定になります。)偽陰性は、特にOAS(口腔アレルギー
症候群)の検査においては非常によく見られ、OASの検査においては血液検査は補助検査程度の
位置づけにしておいたほうが無難でしょう。
また、これが大切ですが、生後6ヶ月未満の乳児に関しては、十分に抗体が作られていないために
偽陰性となることがある、ということがあげられます。
以上から、血液検査は、多くの情報を与えてくれるけれども、これだけで判断を推し進めるのは
症例によっては危険、ということになり、そのため、プリックテストも併用する意義が出てきます。
続きは明日。
to be continued…
※シャルムクリニックは、2014年より、水曜日の診療も開始いたしました
水曜午前9:00-12:00 吉崎 麻子 医師 (東京大学医学部附属病院皮膚科)
水曜午後15:00-19:00 市村 洋平 医師 (東京大学医学部附属病院皮膚科)
による診療となります
水曜日はまだまだ認知されていないこともあって待ち時間が非常に少ないですので、
いぼの液体窒素治療や、水いぼの治療など、定期的に同じ治療を受けられている方、
また、病状が安定しており長期間同じ薬を継続されている方、お仕事が忙しくなかなか病院の
待ち時間を確保できない方、など、水曜日の受診がおすすめです
水曜日は保険診療のみの診療となりますので、自由診療ご希望の方は、それ以外の曜日の
ご受診をお願いいたします。(自由診療の、2回目以降の点滴、および、薬の処方のみの方は
受付可能です。)