こんにちは
院長の櫻井です
夏に多い、皮膚科を代表するウイルス感染症とは何でしょう
答えは、帯状疱疹です
帯状疱疹とは?
水痘・帯状疱疹ウイルスの初感染では水痘(みずぼうそう)になりますが、治癒した後も、後根神経節内にウイルスが潜伏します。風邪・疲労や悪性腫瘍の合併を含めて宿主の免疫機能の低下、手術や放射線照射などで再活性化して発症するのが帯状疱疹です。ウイルスが再活性化されると神経節内で増殖し、知覚神経を通って表皮に達し、表皮細胞に感染しそこで更に増殖して、赤い丘疹や水疱が神経の走行に沿って帯状に出現します。そのため、神経が障害され、神経痛を伴い、帯状疱疹の発疹が治癒した後も後遺症として神経痛を残す(帯状疱疹後神経痛)ことがあります。
通常、帯状疱疹の診断は容易ですが、ときどき、痛みではなく、かゆみ・痛痒さを訴える方もあり、
その場合は、季節柄、毛虫皮膚炎との鑑別が必要となることもあります。
ステロイドを外用して2,3日後に経過観察し、拡大していれば帯状疱疹と診断する、というのも、
方法としては考えられますが、帯状疱疹後神経痛が、帯状疱疹の治療開始が遅れた人に発症しやすい
ことを考えると、得策ではありません。
そのようなときに有用なのが、Giemsa(ギムザ)染色という、細胞診の方法です。
この方法は、その場ですぐに、ウイルス感染細胞があるかどうかの診断がつく、非常にいい検査で、
他にも、水痘の診断、伝染性膿痂疹(とびひ)かKaposi水痘様発疹症かの鑑別(重複感染も多いですが)、
固定薬疹かヘルペスかの鑑別、などなど、有用なシチュエーションは結構あり、シャルムクリニックでは
おなじみの検査のひとつとなっております。
この検査は、教科書的には有名なものの、実践している医師はおそらくかなり少ない、比較的マニアック
なものですが、私の日々の診療には欠かせない武器の一つとなっています。