本日は、以前のブログ(http://ameblo.jp/charme-clinique/entry-12017121499.html
)の後日談。
症例:70代、女性
現病歴:以前より鼠径部に皮疹があったが放置していた。最近疼痛が強くなってきたため
当院受診。
現症:鼠径部から外陰部・臀裂部にかけて悪臭のある湿潤した紅斑局面が広がり、その上には
小豆大の小水疱・びらんが多発している。他の部位には皮疹はなし。息子に同じような症状が
あるという。まず、真菌顕微鏡検査を実施し、陰性。
写真は、部位が部位なだけにアップできません・・・
Hailey-Hailey病と考え、当日生検を実施しました。本疾患は二次感染を伴いやすいのも特徴で、
悪臭・疼痛から二次感染と考え、抗生剤投与を開始し(血液検査にてCRP3.1)、局所には
リンデロンVG軟膏+サトウザルベ混合軟膏処置としました。
1週間後の抜糸時には、水疱・びらんは全て上皮化し、dryとなり、悪臭・疼痛も消失していました。
病理組織では、いわゆるdilapidated brick wallと称される、表皮全層にわたる著明なacantholysisが
見られ、dyskeratotic cellも存在しました。正に教科書的に典型的なHailey-Hailey病の
病理組織像であり、確定診断に至りました。
現在は、東大皮膚科伝統の、OGZ軟膏にて経過良好です。夏場の二次感染併発に注意しながら
定期的に経過観察としています。
Hailey-Hailey病は、皮膚科学的には有名な疾患ですが、実際にはなかなか遭遇することはなく、
このような疾患をしっかり診断できると、してやったり、と自己満足しています