今日はDiagnosis at a glance(見た瞬間診断)で。

症例:小学生、男児

現病歴:1週間前から右耳に痛痒い皮疹が出現してきたため当院初診。

現症:写真に示す。

 

 

さて、まずここで問診することは?

 

 

A. スポーツ歴

 

 

見た瞬間、白癬、特にTrichophyton tonsurans感染症を疑い、問診で

スポーツ歴を聞いたところ、案の定、レスリングをしていました。

真菌顕微鏡検査で真菌陽性であり、頭部のヘアブラシによる真菌培養

(院内で寒天培地にて実施)を行いました。 

Trichophyton tonsurans感染症は、白癬に典型的な環状紅斑を呈すること

もありますが、本症例のような貨幣状湿疹・とびひ様の形態を示すことも

あり、それを知っていないと見逃すこともあります。

治療は、抗真菌薬外用や内服となります。本症例では頭部に近接している

部位に病巣があることから頭部白癬合併の可能性が高いと考え、真菌培養

を実施の上で抗真菌薬内服・外用を併用としました。特に小児の本感染症

の場合、いつから練習参加できるか、試合に間に合うのか、などを保護者

が強く心配することが多く、私の場合は、頭頚部の皮疹の有無にかかわらず、

ほぼ全例、頭部真菌培養提出の上で抗真菌薬内服を処方しています。(外用薬

は頭部白癬以外では必ず併用。)