今日は中級レベルの問題。

症例:20代、男性

現病歴:もともとアトピー性皮膚炎にて当院通院中。2週間前から胸背部に

疼痛のある紅斑が出現し、自己判断でアトピー性皮膚炎の皮疹と思いステ

ロイド外用をしていたが改善に乏しかった。1週間前から37~39℃の発熱が

出現し、内科受診しインフルエンザ抗原陰性・コロナウイルスPCR陰性で

あり、その際に皮疹と発熱の関連について皮膚科受診を指示され当院再診

した。

現症:BT 37.0℃。胸背部に境界不明瞭な大型の有痛性浮腫性紅斑が多発。

全身状態は極めて良好。腹部症状無し。

 

 

 

さて診断は?

 

 

A. Sweet病

 

 

発熱を伴う紅斑からは、中毒疹、Sweet病、Still病、悪性リンパ腫、膠原病

等を想起しますが、有痛性という点でSweet病を強く疑いました。

血液検査(なお、同日の院内迅速採血にてWBC14000,Neut82.4%,CRP8.9)・

皮膚生検を実施し、同時にヨウ化カリウム内服を開始しました。

本日抜糸時↓

 

 

発熱は軽快し、有痛性紅斑は消失しアトピー性皮膚炎の皮疹を残すのみと

なっていました。

病理組織では、真皮上層から下層にかけて、好中球を中心とする炎症細胞浸潤

があり、核塵を混じていました。

血液検査結果は、

WBC  14600↑(Seg 81.0%↑,Stab 5.0%,Lym 10.0%,E0s 0%,Baso 0%,Mono 4.0%),

Hb 13.0,Plt 36.9,肝腎機能異常所見なし,Ferr 322↑,CRP 9.16↑,

プロカルシトニン 0.05,ASO 595↑,sIL2-R 421.0,TARC 914↑,ANA <40,

抗SS-A抗体(-)

でした。

以上よりSweet病と診断しました。

本日再診時のCRPは0.5と十分低下しており、ヨウ化カリウムをもう1週間継続

して終了としました。

Sweet病は、MDSやIBDを基礎疾患とすることがある好中球性皮膚症であり、

ベーチェット病の類縁疾患です。感染症が先行することがあり、ASO高値は

それを反映していたのかもしれません。

今回はヨウ化カリウムが著効しましたが、効果不十分な場合はステロイド内服

が必要となる場合もあります。

これまで当院でも数例を経験しており、決してまれな疾患ではありません。